夫から聞いたこと

 気を悪くする人がいるのは承知の上で書くと、夫は結婚した頃、奇声を発する人や変わった動きをする人と公共の場で出会うと少し迷惑そうな感じであった。
 そういう人がいて社会は当たり前と感じる私との間に大きなギャップがあったのである。
 その後、そういう場面に会うたびに「こういう理由で声が出るのかな。」
とか考えてみたことを伝えてみたり、そういう特性のある人なんだよと解説してみたりを普通に伝えてきた結果、20年たった今、やっぱり私と同じように当たり前と思うようになったようだ。夫は今は普通に接するし、取り立てて何とも思わなくなっているようだ。

 今日、昔のように感じてた頃と、当たり前のように感じていたころとどっちがあなた自身ははラクか?と聞いてみたところ「今の方がいい。」という。
 これだよ、これ!!と私は思う。

 それは私が見ている限り、夫はご老人に対しても、子どもに対しても、犬でも猫でも自分が迷惑をかけられていると思わなくなって、普通になってきた。とりたてて反応することもない。 

 ノーマライゼーションの基本だと思った。

 特別支援教育はいろんな技術とか、理論とかあって、自分もそういうことばかりに目が行ってしまうけど、こういう視点の持ち方から支援されている子を理解してくださいだけではなく、いろんな人がいてこれが社会だよ、それが自分にとっても快適な暮らしなんだよというということを発信していくのも特別支援にかかわるものの使命なのかもしれないなと思う。